40代 アラフィフ 婚活 マッチングアプリ 出逢いはある


再婚活マッチングアプリ『マリッシュ』での潜入捜査兼、再婚活動もいよいよ終わりを迎えた。1週間の任務はなんら問題なく幕を閉じた。

24時02分、退会手続き完了の画面をスクショに撮って眠りにつく。"彼"には明日の朝に報告しよう。






マッチングアプリ『マリッシュ』最終章



7時11分のおはようLINEは、少し元気がない。
8時06分の返信LINEはひとまず元気づけてみる。
8時18分に「マリッシュ無事退会したよ、はい証拠」と続ける。
8時42分、珍しく絵文字の多い返信が届いた。



ほんとに捜査してたんだ😅💦
かっこいい奴いなかったの~?😅
エピソードトーク楽しみにしてるよ~😅


オジサンは絵文字が本当の気持ちなんだ。わかりやすっ。

「この絵文字って苦笑いや冷や汗って意味なんだって、知ってた?」
「仕事がはじまりまーす😅

オジサンはやっぱり分かりやすい。でもまぁちょっと元気が出たみたいでよかったよかった、よね? それはそうと……もうひとり、報告を待ち構えている人がいる。退会報告スクショ1枚、貼り付けてやろう。

40代 アラフィフ 婚活 マッチングアプリ 出逢いはある (1)


😄「ほんとに1週間できっちり終わらせたのね~相変わらず納期は守るね~笑 ありがとうね~」
「おはようございます」
😄「イ・ビョンホン、クマのお母さん、伊達ちゃん、玉子の国の王子様の4人でハンマープライスね!」
「ハンマープライスって……古いな……」
😅「ヤダ~なによ~」
「実はもう1人います、5人で達成しています」
😄「なんなのなんなの。誰よどんな人よ聞いてないわよ~」
「それはまた言います、ひとまず今は退会報告を」













いいねにいいねが返ってくるめんどくささを、後輩に説かれる

40代 アラフィフ 婚活 マッチングアプリ 出逢いはある (4)


朝とその夜、翌日の朝に、いいね!をくれた人がいた。その方のプロフィールを見ると、不真面目且つふしだらに(?)いいねをくださったわけではなさそうだ。でも……。

その方と同じタイミングでもんのすご~くすご~くいいね!をラッシュしてくる男性がいた。そうとう自分の『見た目・スペック・センス』に自信があるよう

プロフィール画像もサブ写真も「俺様でいっぱい」だった。インスタだと思ってるのかな? とうがってしまうほど、オシャレ心を忘れないカッコいい俺様で彩られていた。

例えるなら10年ほど昔に流行った"ちょい悪オヤジ"要素を20%+男性誌の"LEON"+"OCEANS"が同率=100%といった風。

画像は恐らくすこし加工されていて、額のシワや目じりのシワが目立ちすぎないよう、消し過ぎないようにしてあったと思う。※多少のシワを残しているところが巧妙でよけいに嫌でした 笑

それにしても、現役ばりばりの俺様感の圧がすごい。女性達からいただいたらしきいいねの数は3桁と、わたしが滞在した1週間のうちでは断トツに多かった。

スペックも、年収ももちろん高く――それがすべて本当ならですけど――年収証明済みと運営側からの承認も押されてあったので、800万円以上あるのはおそらく確実。

でも!
こんなに自信ありげで
鼻持ちならない男は嫌!


なにがなんでもいいねを押させたい圧に溢れる俺様と、なにがなんでも絶対にいいねを押すもんかとスルーしているわたし。どちらが先に折れるかみたいな謎の戦い――になっていたと勝手に思っている。

俺様のようなタイプを俗に『いいね稼ぎ』と呼ぶのだろうか? 仮にマッチングをしてもメッセージひとつ送ってこない、いいねだけがほしい野郎。





――その傍らで控えめにひっそりと咲く、3回に分けていいね!をくださった、偶然にも俺様と同じ年齢の男性がいた。俺様に警戒心を強く持ったこともあり、その方がとても良い人に思える不思議。

3回目のいいねをいただいた日のお昼休み、お返しのいいね!をすべきか迷っていた。いや、その前に「足跡をつけない」を解除して、足跡を残してみようか? 


👣

待つこと5分。「超いいね!」が返ってきた。


え?!
め、めんどくさい!


超いいねとは、いいねを押したあとに再度いいねを送れるような機能です。

例えば一度いいねを押しても相手の反応がない場合などは、超いいねをすることで相手に真剣度が伝わり、マッチングする可能性もあります。

絶対にマッチングしたい相手がいれば使うのが良いでしょう。




ああ、なるほど。
面倒くさい人ではないのか。いや、でも面倒くさいよ!

超いいね! にいいねを返すと、わたしもその方を超いいねと思ってるみたいでなんか嫌だ。少なくとも現時点では、超いいねとは露ほども思っておらず「なんかめんどい!」と思っているのに――。


怖がりな大人じゃ何も進みません

40代 アラフィフ 婚活 マッチングアプリ 出逢いはある (2)


珈琲を片手に目を閉じているわたしを「めっちゃ香り楽しんでますやん」と和歌山出身の部下が笑う。「違うよ、考えごとしてるの! ……あ! ちょっとちょっと!」

🍊「なんすか」
「気に入った女の子にいいねしてさ、いいねを返されたあと、またいいねする?」
🍊「インスタっすか?」
「まままままままぁ……そんなところ///」
🍊「笑 いいねしますよ」
「へぇ」

🍊「それで向こうがいいねをまた返してくれたら、DMしようって思います」
「2ラリーのいいねがGOサインの目安ってこと?」

🍊「1ラリーでいくより2ラリーの方が女の子も安心するかなって思いますし、誰にでも押してる"適当なノリのいいねじゃないよ"ってのが伝わるかなって。それに僕も失敗しなくて済みそうやなって思うからすかねー」
「へぇぇ」

🍊「笑 マッチングアプリすか?」
「ぎゃ! そう! ねぇ、この人どう思う?」
🍊「どれどれ~見てあげましょう~」
「いいねが3回きて、ついさっき足跡を残したら超いいねが返ってきて意味わかんなくて」
🍊「うぉ! この人超いいじゃないすか。マッチングしたげますよ」


いいね!
マッチング成立:*:.。.


「ヤメてよぉおおお!」
🍊「慎重に慎重にって石橋ばっか叩いてたら、怖がりな大人は何も進みませんからねー」 


怖がりな大人は何も進みません、か……。
やだ、やけにぶっすり刺さる……。


アプリ潜入捜査5人目:ステイサム×蔵人



「マリッシュ メッセージ通知」

きた! いきなりきた、さっそくきた!

「はじめまして、ありがとうございます。大変勝手で申し訳ないのですが、間もなく昼休みが終わりますので今夜改めて連絡致します」


WOW! 丁寧な人!


「あっ、和歌山くん!」
🍊「返事きました?」
「きたきたきた」
🍊「どれどれ~」

「どう?」
🍊「めっちゃ良さげっすやん! ヒゲ渋いすね!」
「だよね」
🍊「ほな頑張って下さい。恋愛相談はいつでも乗ったげますよ 笑」
「お礼はスタバで!」


あの夏、いちばん静かな海。


「――あの夏、いちばん静かな海って映画知ってますか?」
👨「見たことはないんですけど、タイトルは知ってますよ。北野武監督の」

「そうです。真木蔵人さんが主演で」
👨「あ~そうだったかも!」

「似てますよね……?」
👨「いちばん言われてきました」
「やっぱり 笑」

👨「彼がスキンヘッドにした時は、僕が見ても僕だなって思いました。僕はスキンヘッドになったパターンですけど」
「こういう時は笑ってもいいんですか?」
👨「笑ってください盛大に」
「はははははははははは!」

40代 アラフィフ 婚活 マッチングアプリ 出逢いはある (1)

ジェイソン・ステイサムと、若かりし頃の真木蔵人さんを足してぱっきり2で割るとこの人になる。もうほんとにそっくり!

今の真木蔵人さんより、ゴリゴリにイケてた若い頃の真木蔵人さんをスキンヘッドにして目じりやマリオネットラインに、シワを3~5本ずつとヒゲを描き足すとこの人になる。

良い生き方をしてきた人だけが持つ年輪、そんな良さげなシワ。

イケ散らかし当時の真木蔵人さんの顔をスクショして、マークアップで年輪を描き足して、画像送信をしてみた。

👨「我ながら似てますね 笑」
「そっくりすぎて急に緊張してきました」

会話はとくに弾まない。考えながら話してる。この話題なら盛り上がるかな? この話ならラリーが続くかな? でも初対面の大人って、ましてやアプリで知り合ったなら、これが普通なんだろうな。

テンポよくリズミカルにぽんぽんぽんと会話が弾む人との出逢いなんて、ほんと千載一遇。


「どうしてあなたみたいな人が、ここにいるんですか?」
👨「質問が直球ダイレクトで気持ちいいですね~ 笑」

オトナの真木蔵人さん(激似)は、真剣に婚活をしている女性なら恐らくそこが知りたい・でも聞きづらい! ってな的を外すことなく、

決してプロフィール画面には載せない、個人的な経歴や"独り身になるに至った過程とそこからの十数年"、再婚活を始めたわけを教えてくださった。

「わかりやすい!」
👨「仕事柄、説明するのはすこし得意かもしれません」
「ああっ、確かにそうですね」
👨「僕からも質問していいですか? つまらないことですけど、気になってしまって……」
「はい」

👨「どうしていいねを返してくれたんですか? 4回目でやっと」
「すいません 笑本当は和歌山君が勝手に…
👨「駄目なのかなって、これで駄目なら諦めようと4度目の正直のつもりでした」
「えっと……ちょっといいなって思ったところは」

  • 極端に短い自己紹介
  • 極端に長いけどいまいち要領を得ない自己紹介
  • 自慢がたくさん並んだもの
  • 相手への厳しい条件が乱立してあるもの
  • NG項目ばかりが並んだ自己紹介とは呼べないもの
  • 俺様

上記のような「んんん……?」と違和感をおぼえるプロフィール画面が少なくない中で、

「真面目に婚活中の女性が気になるけど、聞きづらい部分が『スクロールをしなくても一画面で見られるように簡潔かつ丁寧にまとめられていました』そこがお見事だなと」

👨「それでいいねを?」
「あ……はい」和歌山君が……
👨「フフフ」
「面白かったですか?」
👨「考えに考えて自己紹介をつくって報われたなーって思いまして」
「おめでとうございます」
👨「ありがとうございます」


……盛り上がらない。続くけど盛り上がらない。なんていうんだろ、踏み込んでこない。多少踏み込んでもウエルカムされるけど、踏み込まれはしない。

踏み込まれ過ぎても嫌だけど、踏み込まれないとそこからの一歩は近づけない。

一般企業に勤める相手との初対面ってふつうはこんな感じなんだろうか。これがオトナの普通か。わたしが異常なのか。テレビ業界特有のぬるま湯に浸り過ぎて、よくも悪しくも麻痺しているのかもしれない。

「もう23時ですね」
👨「そろそろ寝ましょうか」
「はい。おやすみなさい」
👨「明日も頑張ってくださいね」
「はい。蔵人さんも頑張ってください」

肩にぐぐーっと力が籠って首が固くなっていたらしい。パソコン前から立ち上がると、軽く眩暈がした。

大きく伸びをして珈琲を淹れる。このままお風呂に入ってもいいんだけど、なんとなく誰かと話したい気分。

先輩にLINEすると長くなるし、"お母さん"の肩書を持つ友人達は就寝時間だし、和歌山君に連絡したらパワハラになっちゃうだろうし、んー。こういう時か。「独りなんだ」と突きつけられるのは。


持つべきものは年下の女友達

40代 アラフィフ 婚活 マッチングアプリ 出逢いはある (3)


👸「お疲れ様です。だいぶ良くなってきました、ご心配をおかけしました」
「あー! 萌ちゃん! お熱下がったんだ?」

職場のクラスターでオミクロン株に罹患した14歳年下の女の子。マスコミ志望の中途採用セミナーで講師と生徒として知り合って5年になる。

歳の離れた韓流エンタメ仲間として、妙に気の合う年の離れた女友達として、いつしか毎晩の23時からが彼女とのLINEデートタイムになっていた。

👸「5日間もあかつきさんとLINEしないと寂しくて寂しくて」
「わたしもー💦 すっかり萌ちゃんありきの毎日になってたんだって気づいたよー💦 もう病気になんないでー」

年下の人の話していて自分が気持ちいいと感じる時は「相手から接待をうけていると思え」。くれぐれも調子に乗って長話をするべからず。

いつも心に留めるようにしている。
ちょっぴり物足りないくらいが、人付き合いはちょうどいい。

👸「あかつきさん婚活どうなったのかなーって気になってました」
「えー!」

「それがさー」って続けそうになる親指を下ろす。ダメダメダメダメ、39度の熱が3日間も下がらなかった可愛い病人さんに調子に乗って長話をしてはいけない!

👸「私もアプリしようかなって」
「えー! そうなのー
👸「"あの人"以外にいい人いました?」
「実は悩んでるの……」
👸「なんですか! 聞きますよ!」


[再掲]年下の人の話していて自分が気持ちいいと感じる時は「相手から接待をうけていると思え」。くれぐれも調子に乗って長話をするべからず。

いつも心に留めるようにしている。
でも向こうが聞きたいって言ってくれてるなら……それにあらず?