
再婚活をする直前まで、10年にも渡る気楽な独り身生活が終わるのはイヤだなとかなり本気で思っていた。
自堕落も10年になると男よりラクを選ぶ
首回りはヨッレヨレ。胸元にはいつ飛んだのか記憶にすらないナポリタンソースが厄介ごとみたいに居すわるTシャツ。
ボトムスは膝の抜けたユニクロのネイビーのスウェット。靴下には大量の毛玉。なんならショーツにも毛玉。トップスの脇下にも毛玉。
女なんて完全に棄てていた、自堕落バンザイ。
髪や顔の産毛や指毛に眉毛など「見えるところ」はタレントや企業さんに会う仕事柄、小マシにはしている。余分な贅肉はあいかわらず大量に保有しているけれど、それだって1年前よりはマイナス14kgぶんマシである。※近日赤裸々公開予定!
見えるところ以外の女を放置して放棄した生活は、本当にラクだった。このラクさと新しい男が等価交換になるとはとうてい思えず、再婚なんてやってられっか~別居だ別居、別居婚ならいいけどさ~と8割以上本気で言ってた。
――今年の2月3日付近まで。
つまり、つい最近まで『やってられっか自堕落チーム』の正式メンバーだった。それがどうだろう、2ヶ月が経つと――4月6日に書いています――こうまで人間がかわるのかと我ながら笑ってしまう。
試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。

新宿ルミネ周辺では、オシャレ感度の高い女性たちがハッと息を飲んで足をとめる現象が長らく続いている。
試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。
2022年3月末、試着室でデニムを2本ためし穿きしていた。ああ、よかった。太もももウエストも入る――短く息をついたわたしと鏡越しに目が合って、この秀逸なキャッチコピーを思い出した。
SOMETHING HANA テーパードストレート 税込み10,890円なり。
『自分サイズ』がもっとも美しいとされる多様性の時代だけど、できれば、わたし自身は「ゆったりサイズ」ではないものを着ていたい。
若くて綺麗でオシャレな店員さんよりも、そりゃ少しは……さらにもう一声オーバーサイズだけど……とはいえ店頭にレギュラーサイズとして棚置きされているものの中に、ぴったりくるサイズが有ったことと、それを穿けるカラダになったことが嬉しくて、1万円と少しの値段を惜しいと思わなかった。
タイトなジーンズにねじ込んだのは最後にしたい恋心
ベルトを通さなくても綺麗に腰で穿ける、春夏に似合う新しいジーンズが欲しかった。
どこへも誰とも出かける予定のないこの10年は、コロナ禍云々関係なく――自分の為だけに実用性が高く、長く着られる服であればそれでよかった。ウエストがゴムであればそれがベストでジャストだった。
ベルトを通さなくても綺麗に腰で穿けて、白いレースのコットン100%のトップスにも、“1軍”のグレーのTシャツにも、家着用に980円で買ったビッグシルエットの墨色のスウェットにも似合う新しいジーンズが欲しかった。
蜷川実花さんがツイッターで無料配布してくださっていた華々しい背景や、尾形真理子さんの胸にくるキャッチも添えていない「撮ってだし100%」の画像を「新しいジーンズを買っちゃったよ♡」と彼に送りつける午後。
47歳、10年ぶりの恋にたいそうご機嫌
自堕落も毛玉も消え失せた。ひとつも焼けたくないからオデコも首にも手首から指先にもデコルテにも、みっちりと日焼け止めを塗ったくっている。
元夫から「今年も黒いね」と例年笑われていたくらい紫外線吸収率の高い女だったけれど、今年のわたしは違う。
先日眼科でまとめ買いした「遠近両用レンズ」さえUV対応だし
ダウンタウンの浜田さんの首の細かな縦ジワを反面教師とし(すみません、浜田さんっ!!)暇があれば保湿をして、日焼け止めをやっぱりたっぷり塗り込んでいる。
カラダだってもちろん、備えあれば憂いなしのスタンバイを続けているところだけど
ひとつ、とっても気がかりなことがある。同世代の「現役の女性たち」は気にしておられないのだろうか。40代にもなると、きっと皆そういうものなんじゃないのかしら……(つづく)
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