恋の終わり 大人の恋 40代の恋愛 (2)


嫉妬もしない、わがままも言わない、自ら連絡してくることも会いたいと言ってくることもない。ほとんどなにも求めない。

そんなわたしの本心を探ろうと、おかしな行動をとる男性はときどきいた。たとえばそれはこんな風に――。






携帯電話が普及されたばかりの時代に付き合っていた年上の彼は、わたしにヤキモチを妬かせるためにわざと架空の合コン予定を記入した手帳を、わたしの部屋のお手洗いに置き忘れたふりをした。わざわざそのページを上に向けて開いて。

人様の手帳や日記、カバンの中身、携帯電話などには触れたくもなければ覗きたくもないわたしがそれをマジマジと見ることはなかったけれど
わざとらしく赤いボールペンで2重、3重にをつけられた日があるなっていうことくらいは視野が勝手にとらえた。

この彼はそれまでにも、わたしから嫉妬を引っ張り出したくて試行錯誤を繰り返していたので「どうせその一環だろう」と思ったし、

ごくごく一般的な男性だったのに、彼をこんな風にしてしまったのはわたしの“無関心”が原因なんだろうなと疲労が蓄積していった。

お手洗いから出てきたわたしの顔色をちらちらと横目でチェックしている彼に向き合って、「あなたが求めるようにわかりやすく嫉妬してくれる女性があなたにはお似合いなのでは?」と別れを告げた。

こういった経験が何度もあるので、原因はわたしだと分かっているのだけど、これだけはどうしてもかえられない。

演技をしたことはある。自分を売れっ子キャバクラ嬢だと思い込んで関心のないことにも感心したふりをして「すごーい! さすがー!」とやってみたことはある。けれどストレスがすごく全身に蕁麻疹が走り39度まで熱があがったので、やめた。

毒母の異常な関心・執着・過干渉をうけて窮屈に育ったため、その反動が無関心、相手にほとんど求めないというかたちに出たのだと思う。



――で、つい先日別れたばかりの“彼”はどうだったか。

こちらのブログの中でも何度か書いたことがあると思うのだけど、彼はとにかく秘密の多い人だった。

彼の本心はわからないし今では知るよしもないけれど、わたしの体感的には

  1. 本当に今は伏せておきたいこと
  2. からかい半分、振り向いてほしい半分で秘密にしている“ふり”

この2つがあったと思う。
多くの場合、人は秘密にされると知りたくなるものだ。

恋人関係なら尚更で「どうして言ってくれないの!」「言ってよ!」「なにかあるんでしょ!」という痴話喧嘩や空気の悪さに発展し、恋人同士にありがちな可愛らしい仲直りへと終着する。

こういった痴話喧嘩は面倒くさいものであると同時に、相手の自分への愛情をわかりやすく確かめられるリトマス試験紙的な側面もある。

とくべつ知りたいわけではないけれど、流れや空気的にする質問ってあると思う。例えば並んでテレビを見ていて星座占いがやっていたとする。

「あなたは何座ですか?」
「内緒!」

こういったことが彼にはすごく多かった。上記でいうとこれは[2]に相応する。

本来のわたしならば「あらそう」とすぐにいつもの無関心モードに戻るのだけど、ここは少しでも頑張らねば、10年ぶりの彼氏だぞ! と奮起する。

「どうして内緒?」←奮起
「言いくなーい!」
「そう、わかったわ」
「……」

どこが奮起やねん! という声が四方八方から矢のように飛んでくる気配がありますが本来関心がないことなので(笑)回答がこないのであればそれはそれでどうでもいい。※実際に彼の誕生日をわたしは教えてもらえませんでした

それよりも「内緒!」「言いたくなーい!」がダルすぎて、さらっと流してしまう。しかし

  1. 本当に今は伏せておきたいこと
  2. からかい半分、振り向いてほしい半分で秘密にしている“ふり”

これらが多すぎると、まともに会話が成立しないというか会話が発展しないというか。

これを聞いてもどうせまた「内緒」とやられるんだろうな。この話を振ってもどうせまた「言いたくなーい」とやられるんだろうし。

そう思うとどんどん話すことがなくなり、LINEをすることさえもストレスになっていきました。だからわたしにとって「彼の音信不通」は体調面などについては心配ではあるものの、ストレスから解放されるものでもあったんです。

別れようかな、が「別れたいな」にグレードアップしていく。そんな自分を打ち消して、音信不通に悩んでいるように自分に言い聞かせる。

ふつうは、ふつうの恋人なら、ふつうの女性ならこんな時は心配して気に揉んで泣いたり落ち込んだり苦しんだりするものだ。
わたしがおかしいんだと自分に言い聞かせるのは、受けいれがたい痛みでした。

それでも、愛犬のビーと遊ぶ彼を見るのは楽しくて好きな時間のひとつでした。決して広いとは言えないわが家の浴室で、彼とビーが仲良くシャンプーしている様子に耳を傾けるのも好きな時間でした。

恋の終わり 大人の恋 40代の恋愛 (1)

ああ、わたしは「内緒」「言わなーい」が本当に嫌だったんだ。もっとも嫌だったのはこれだったんだ。
そのことを告げないままでいるのは、なんだか違うような気がしました。

男性と別れる時に「ここが嫌だった」「本当はこうしてほしかった」とかって最後っ屁を向けない主義です。さらっと後腐れなく、ひかれる後ろ髪なく別れたいので。

でもどうしてだか今回に限っては、言わなければ『終れない』気がしました。一度くらい感情を見せなけばいけない気がしました。

なんの制限も見栄もなく、思いつくままに気持ちを下書きしました。出さない手紙を書くようなつもりで。

読み直してみると、わたしは「内緒」「言わなーい」に自分が思うよりはるかに傷ついていたことがわかりました。

これにもっと早く気づき「いい加減にしてよ!」と言えていたら、なにかが違ったかもしれません。


何を聞いても「内緒」と言われる。
いつしかそのたびに胸が張り裂けそうになりました。

殆どまともに教えてもらえない、殆どまともに答えてももらえないなか、半年以上に渡って手探り状態で、苦しい気持ちを隠して笑っているのはしんどかった。

次第に何を話せばいいのかわからなくなり、どんどん話すことがなくなってLINEを送ることさえも怖くなり、8月半ばにはもう会いたくないなと思いはじめていました。

本当のわたしはもっと明るくて、人と話すのが好きだったからそんな状態なのは苦しかった。

あなたがしんどい時、少しでも支えられたらと思ったりしたけど、なにも知らされないわたしに入りこめる余地なんてひとつとなくて、

すぐ隣りにいてもあなたとの間には分厚い壁がいつもあって、2人でいる時間ほど寂しい気がしていました。

それでも会っていたのは、ビーと遊ぶあなたを見るのが好きだったからだと思います。でも、つらくて苦しい方が多い付き合いはわたしの求めるものではありません。

LINEの未読スルーや既読スルーや会う回数とか。無視され続けているのは流石に悲しいけれど、そんなものにはさほど興味はありません。

それでも、そんなわたしでも、内緒内緒でずっと蚊帳の外に追いやられたままのこの関係はただ虚しいものでした。

それでも、たぶんわたしはあなたを好きだったんだよ。
だからもうこれで終わりにします。あなたなりに幸せになってください。わたしもわたしらしくいられる人を見つけます。

短い期間でしたがこれまでありがとう。お元気で。

ご返信には及びません。これまでのやりとりや画像は全て消しました。ブロックもしますので安心してください。

あかつき

「下書きにしてはなかなかまとまってる。これを送らないのはもったいないな。よし、送信」

相手が望むように相手に関心を持つことができず、相手を不安にさせて“面倒な行動”をとらせてしまうこと以外にも、きっとわたしにもたくさんの非があるでしょう。

相手のぶつけどころをブロックで閉ざすのは、アンフェアな気がしてLINEのブロックをいったん解除にしました。
わたしの名誉の為に書きたいのだけど、返信を待つわけじゃなく性格的にフェアじゃないのは嫌いなんです(笑)

自分のことを好きなのかそれほどなのかわからない相手(=わたし)に頑張り続けることは、彼もきっとしんどかっただろうと思います。子どもっぽい乙女おじさんだったし、彼も彼で寂しかったのかもですね。

ただでさえ公私に渡り疲れることが多いだろうに、申し訳なかったなって思ったりもします。

50代前半の男性を相手にした、40代後半に始まった“老後を見据えた恋愛”が終わるだなんて思いもしていなかったので、終わった! って自分がいちばん驚いています。←

長くなりましたが、これまで応援くださったり学びを与えてくださった皆様、本当にありがとうございました。これよりブログのカテゴリーを「婚活」から相応しいものに移します。

いつか……いつかもしも誰かともう一度寄り添いたいと思ったら、その時はまた。ありがとうございました!